【世にも不思議な自販機】
それはもう30年以上昔のお話
純真無垢な小学生の頃、体力のないデブだった私は親の薦めもあり、週3回の少林寺拳法の道場
へ片道約1kmを走って通っていました・・・
帰りはうだうだと友達の家でいたづらを重ねて、いつも帰路は夜10時近かったと思います・・・
最後の400mほどは私一人で真っ暗な街灯もない道を歩いてました。
その真っ暗な道の中間あたりにある、ジュースの
黄色い自販機が私としては道標でした。
明かりはその自販機だけ・・・だから、心休まる目印だったのです・・・
ある日、私は何を思ったか手を伸ばしやっと届く自販機のドデカイボタンを、バンバンと全部押しました・・・
『キュルルル・・・・・・ドカン!ガチャン!』
「えっ?」
取り出し口には・・・“ファンタ オレンジ”が転がっていました・・・
もちろん、私はお金を入れるどころか大体にして持ってません・・・
当時、確か例の190mlのコークが¥50だったと・・・もちろんガラスのボトルです。
しばらくジーッと取り出し口を眺めてましたが・・・そこは【いたづら半生記】の主宰、それでは終わるわけがない・・・
もう一度、バンバン!
『キュルルル・・・・・・ドカン!ガチャン!』
今度は“ファンタ グレープ”が取り出し口に・・・・
買い食いを親から制限され、まして、このような“炭酸ジュース”なんぞ、飲んだこともない私にとってまさに、
【天から降ったプレゼント】
しかし、次の練習日の帰りには【プレゼント】はありませんでした・・・次も・・・その次も・・・
あきらめの悪いこの“バカ者”はそれでもボタンを押しつづけました・・・
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とある日、私はその自販機に、もうひとつの
【可動部分】を発見しました・・・
《お金返却レバー》
です。当然・・・・
『カチャ・・・カチャカチャ・・・カチャカチャ・・・』
言うまでもなくしつこく動かしてみました・・・・でも・・・・自販機は無反応・・・・
そして、やおら何を血迷ったか、この“バカ者”は覚えたての
【足刀蹴り】を自販機に食らわせた・・・
『ジーッ・・チャリン・チャリン・・・ジャラジャラ・・・・・』
「ゲエッ!」(夜なので大声立てられず、息を呑む)
目の前には
【返却口】からあふれている“10円玉”・・・・
私の田舎は当時夜の10時にもなれば通るクルマもないくらい静かな街・・・
こういうシチュエーションだと実はそれほどでもない音が
【けたたましいくらいの音】になるんですね・・・
『店のガンコオヤジが出てきやしないか?』
『近所のおばさんが
「あぁ、またふつつかものさんちの悪ガキがなんかしたのかい!」なんてでてくるのか?』
『いきなり巡回のパトカーが来て、手錠をはめられて連行される』
なんて、妄想を短時間でするわけですね・・・
で、・・・・正直に言います・・・
『怖くなって一銭も取らずに逃げました』
そして、その自販機・・・一週間もしないうちに
『赤くて新しい』のに変わっていました・・・
懺悔!m(__)m
【ふつつかもの】ですが、皆さんこのくらいしたよね?・・・・よろしく・・・・・